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ちょっと真面目に書いてみようと思ってます

育児休暇や介護休暇を取得したら評価が下がる?

先日、ちょっと耳を疑うような話が漏れ聞こえてきた。にわかには信じがたい話なのだが、複数から同じ話を聞いたので、たぶん事実なのだろう。

 

職場で同僚が家族の介護を理由に2ヶ月の介護休暇を取得した。介護休暇制度は、会社の制度として規則化されていて、社員はその権利を問題なく行使することができる。その同僚も会社の規則に則って介護休暇を取得している。

 

問題はここからだ。先日、今年度上半期の人事考課会議が開催された。人事考課は、各ビジネスユニット単位に所属社員の評価を各部門の長やユニット担当役員らの合議により決定される。その席で、参加者から「介護休暇を取得して業務を行っていなかった社員に関しては、業務貢献度が低いのだから評価を下げるべきだ」との発言があったという。どういう結論になったのかは不明だが、どのような結論であろうと、こういう発言が何の疑問もなく行われるマネジメント会議というのは大問題ではないだろうか。

 

介護休暇は、育児・介護休業法という法律により企業に義務付けられているもので、当然会社もその法律に則って、育児休暇制度や介護休暇制度を設けている。育児・介護休業法によれば、

  • 事業主は、育児休業、介護休業や子の看護休暇の申出をしたこと又は取得したことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

とされている。上述の「介護休暇を取得して業務貢献度が低い社員は評価を下げる」というのは、明らかな法律違反になるのだ。第一、このような考えがまかり通ってしまったら、社員は迂闊に育児休暇も介護休暇も取ることができないではないか。

 

発言者は、自分の発言が重大なコンプライアンス違反であることを認識していないのだろう。おそらく、育児休暇や介護休暇のような社員の権利を必要悪と考えているのかもしれない。育児休暇や介護休暇を取得するような社員がいると職場が迷惑すると考えているのかもしれない。

 

まだ最終的な人事考課結果は出ていないようなので、最後にはこのようなくだらない意見は一笑に付されると信じているが、もし経営層においてこの人事考課を肯定するような結論が出されたとしたら、会社が「ブラック企業」に成り下がったと考えるしかないだろう。不景気というのがこれほどまでに会社を狂わせるとかと思うと、ため息しかでてこない。